郷土料理

鮎寿司

特徴 吉野山地の清流が育む天然のアユは、川の石に付いた藻を食べて育つ。その香りがスイカやきゅうりに例えられ「香魚」と呼ばれ、美味しいと評判である。この鮎を使った姿ずしが吉野地域では有名である。本来の「鮎寿司」は、1週間から1ヶ月熟成させる「なれずし」であったが、独特の風味があり、時代の流れとともに、つくられなくなった。しかし、室町時代には樽と重石の開発により発酵期間を短くし飯も魚と共に食べる「なまなれずし」が生まれた。現在つくられている「鮎寿司」は、つくってすぐに食べるタイプのもので、アユの風味が爽やかで上品な寿司である。
歴史 歌舞伎や人形浄瑠璃の演目「義経千本桜」の中で出てくる鮨屋が奈良県に実在していたことから、奈良の「鮎寿司」が人気となった。芝居の中で出てくる釣瓶鮨(つるべすし)は、ごはんとアユを詰めて発酵させたなれずしである。すし桶が井戸水を汲む釣瓶に似ていたところから、釣瓶鮨(つるすべし)と呼ばれるようになったという。この歌舞伎鮨屋の舞台となっている料理屋は今現在も老舗料亭として営まれている。