郷土料理

さんま寿司

特徴 十津川村の「さんま寿司」は村の南北それぞれつくり方が異なる。北部のつくり方は、サンマを塩漬けし、塩を洗いとったあと塩と酒で炊いたごはんと一緒に形成し桶に並べ、水と塩を加え長期発酵させる「なれずし」に対し、南部では、塩を振ったサンマを合わせ酢で締め、酢飯にのせる押し寿司である。つくり方に違いはあるが、使用するサンマは、晩秋から初夏にかけて熊野灘まで南下してきた脂の少ないサンマを使用する。熊野灘でとれるサンマは、やや小ぶりで、脂が程良く落ちているため、「さんま寿司」などの日持ちする保存食に適している。
歴史 「さんま寿司」は、主に奈良県吉野郡十津川村の郷土料理として伝わっている。また、「さんま寿司」はハレの日や正月に欠かせないなれずしであった。なれずしは、古来のすしの一つで、塩漬けした魚と米を漬け込み発酵させたものである。発酵が進むにつれて「馴れる、熟れる」ことから「なれずし」と呼ばれている。「なれずし」はもともと魚を長期保存するための加工方法に過ぎなかったため、発酵を促すごはんは捨てられていた。しかし、室町時代には発酵期間を短くしごはんも魚と共に食べるようになってきた。